WEP,WPA,WPA2,WPA3 -情報処理シンプルまとめ

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 基本情報技術者試験など情報処理技術者試験を受験する方にとっては必須の,WEP,WPA,WPA2,WPA3についてシンプルにまとめています。WEPの概要(WEPキー,IV,WEPシード,キーストリーム,ICV,RC4,CRC32),WEPの脆弱性,WPAの概要,TKIP(TK,MIC,Michael),クライアントの認証(WPA Personal(WPA-PSK;パーソナルモード),WPA Enterprise(エンタープライズモード)),WPA2の概要(IEEE802.1x),CCMP(CCM,カウンターモード,AES),クライアントの認証(WPA2 Personal(WPA2-PSK),WPA2 Enterprise),WPA3の概要,GCMP(GMAC,GCM),クライアントの認証(WPA3-Personal(WPA3-SAE;WPA3-Personal Only mode,WPA3-Personal Transition mode),WPA3-Enterprise(WPA3-EAP;WPA3-Enterprise Only mode,WPA3-Enterprise Transition mode,WPA3-Enterprise 192-bit mode))を説明しています。

WEP(Wired Equivalent Privacy)

 WEPは,WiFiなどの無線LAN通信におけるセキュリティ規格です。暗号化にはRC4(ストリーム暗号)を使用します。

※ WEPは,IEEE802.11に標準で実装されている

※ WEPには脆弱性があり,十分な安全性を確保できないため,現在は,ほとんど使用されていない

 WEPを無線アクセスポイントに設定すると,WEPキーを設定していない無線LAN端末は無線アクセスポイントに接続できないため,暗号化だけでなく,認証の役目も果たすことになります。

WEPの脆弱性

 WEPには,次のような脆弱性があります。

鍵管理の仕組みがないため鍵の配布が難しい

⇒ 同じWEPキーを使い続けてしまい,漏えいの可能性が高くなる

IVが短い,暗号化されていない,WEPキーの情報を漏らすようなIVがある

⇒ 現実的な時間内に解読されてしまう可能性が高くなる

無線アクセスポイントに接続するすべての機器が同じWEPキーを使用する

⇒ 他の利用者が解読できる

ICVは,改ざんしても,CRC32により再計算することが可能

⇒ 改ざん防止には役立たない

 このような脆弱性があるため,現在,WEPは,ほとんど使用されていません。

WPA(Wi-Fi Protected Access)

 WPAは,WiFiなどの無線LAN通信におけるセキュリティ規格です。暗号化には,WEPを改良したTKIPを採用しています。利用者認証の機能もあります。

※ WEPに脆弱性が見つかり,IEEE802.11i(WPA2)の策定をはじめたが,かなりの時間が必要だったため,先取りする形で策定された。そのため,既存の無線LAN機器のまま,ソフトウェアアップグレードで対応可能

※ WPAでは,十分な安全性を確保できないため,現在では,非推奨となっている

※ TKIPについては,後述

TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)

 TKIPは,WPAで採用されたプロトコルです。データの暗号化にはRC4(ストリーム暗号)を,完全性の検証にはMICを使用します。

WPAに関する説明画像

 WPAでは,WEPの問題点を,次のように改善しています。

  • IEEE802.1xによる動的鍵配布の仕組みを利用できるようにした
  • 生成した鍵を暗号化や完全性の検証に用いることで,鍵の安全性が高まった
  • IVを48ビットに拡張し,同じIVを発生しにくくした
  • IVの使い方を規定し,フレームごとに確実に異なる暗号化鍵を使用できるようにした
  • MICにより,データの改ざんを検知できるようにした(MACアドレスの改ざんも検知できる)

クライアントの認証

WPA Personal(WPA-PSK;パーソナルモード)

 パーソナルモードでは,事前共有鍵(PSK;Pre-Shared Key)を使用して認証します。このPSKは,クライアントと無線アクセスポイントに,パスフレーズ(パスワード)を手動で設定することにより自動的に生成されます。

※ 個人・小規模事業所向け

WPA Enterprise(エンタープライズモード)

 エンタープライズモードでは,IEEE802.1x認証に基づく認証サーバー(RADIUSサーバーなど)を使用して認証します。

※ 大規模事業所向け

※ RADIUSについては,「RADIUS,IEEE802.1x/EAP-RADIUS -情報処理シンプルまとめ」を参照

WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)

 WPA2は,WiFiなどの無線LAN通信におけるセキュリティ規格です。暗号化には,CCMPを採用しています。利用者認証の機能もあります。

※ WPAの後継プロトコルで,IEEE802.11iに準拠している

※ CCMPについては,後述

CCMP(Counter mode with CBC-MAC Protocol)

 CCMPは,WPA2で採用されたプロトコルです。データの暗号化にはAES(ブロック暗号)を,完全性の検証にはMIC使用します。

WPA2に関する説明画像

クライアントの認証

WPA2 Personal(WPA2-PSK;パーソナルモード)

※ 内容は,WPAパーソナルモードと同じ。「WPA Personal」を参照

WPA2 Enterprise(エンタープライズモード)

※ 内容は,WPAエンタープライズモードと同じ。「WPA Enterprise」を参照

WPA3(Wi-Fi Protected Access 3)

 WPA3は,WiFiなどの無線LAN通信におけるセキュリティ規格です。暗号化には,CCMPとGCMPを採用しています。利用者認証の機能もあります。

※ WPA2の後継プロトコルで,IEEE802.11iに準拠している

モード暗号方式暗号アルゴリズム
WPA3-Personal Only mode
WPA3-Personal Transition mode
WPA3-Enterprise Only mode
WPA3-Enterprise Transition mode
CCMPAES(128ビット)
WPA3-Enterprise 192-bit modeGCMPAES(256ビット)

※ 各モードの詳細は後述

※ GCMP(Galois/Counter Mode Protocol)…WPA3のWPA3-Enterprise 192-bit modeで採用されたプロトコル。データの暗号化にはAES(ブロック暗号)を,完全性の検証にはGMACを使用する

※ GMAC…GCM(Galois/Counter Mode)により生成されたMAC

クライアントの認証

 WPA3では,パーソナルモードとエンタープライズモードが細分化されました。

WPA3-Personal(WPA3-SAE;パーソナルモード)

 パーソナルモードでは,利用者が入力したパスワードと,乱数を使用して,楕円曲線暗号により認証するSAE(Simultaneous Authentication of Equals)方式が採用されました。

WPA3-Personal Only mode

 WPA3-Personal Only modeは,WPA3-Personalに対応したクライアントのみが接続できるモードです。

WPA3-Personal Transition mode

 WPA3-Personal Transition modeは,WPA3-Personalに対応していないWPA2-Personalクライアントを,WPA2で接続できるようにするモードです。

※ WPA2からの移行モード

WPA3-Enterprise(WPA3-EAP;エンタープライズモード)

WPA3-Enterprise Only mode

 WPA3-Enterprise Only modeは,WPA3-Enterprise Only modeに対応したクライアントのみが接続できるモードです。

WPA3-Enterprise Transition mode

 WPA3-Enterprise Transition modeは,WPA3-Enterpriseに対応していないWPA2-Personalクライアントを,WPA2で接続できるようにするモードです。

WPA3-Enterprise 192-bit mode

 WPA3-Enterprise 192-bit modeは,WPA3-Enterprise 192-bit modeに対応したクライアントのみが接続できるモードです。より高いセキュリティ要件に対応できます。

まとめ

 今回は,WEP,WPA,WPA2,WPA3について,シンプルにまとめてみました。ややこしいと思いますが,しっかり頑張りましょう(シンプルにと書いておきながら,ややこしいなんて…,矛盾していますね)。