LAN(ネットワークインタフェース層) -情報処理シンプルまとめ

LAN(ネットワークインタフェース層)に関するブログのアイキャッチ画像 ネットワーク

 基本情報技術者試験など情報処理技術者試験を受験する方にとっては必須の,LANについてシンプルにまとめています。はじめに,TCP/IPのネットワークインタフェース層の説明と,イーサネット(Ethernet)の説明と,通信の流れ(①同じネットワークに存在する端末への通信の流れと,②異なるネットワークに存在する端末への通信の流れ)について説明しています。次に,伝送媒体について,有線LANで使用する伝送媒体(同軸ケーブル,ツイストペアケーブル(より対線),光ファイバケーブル,ケーブルの規格)と,無線LANで使用する伝送媒体(電波,赤外線,無線LANの規格,無線LANで使用する周波数帯)を,集線装置について,集線装置の種類(ゲートウェイ,レイヤ3スイッチ,ルーター,スイッチングハブ(レイヤ2スイッチ),ブリッジ,ハブ,リピータ)とネットワークトポロジー(バス型,スター型,リング型)を説明しています。また,MACアドレス(表記,ブロードキャストアドレス),通信の仕組み(CSMA/CD方式,CSMA/CA方式,トークンパッシング方式),ARP,RARPについても説明しています。基本的な内容ではありますが,しっかり頑張りましょう。

ネットワークインタフェース層

 TCP/IPのネットワークインタフェース層は,OSI基本参照モデルの物理層と,データリンク層に相当します。役割は,隣接ノード間で,データ(フレーム)を送受信することです。使用するプロトコルは環境によって異なり,たとえば,Ethernetの場合,MACアドレスにより(通信相手となるノードや中継ノードとなる)隣接ノードを識別し,データ(フレーム)を送り届けます。

イーサネット(Ethernet)

 イーサネットは,有線LANのプロトコルで,現在,ほとんどのLANで利用されています。IEEE802.3として標準化されています。

※ IEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers)…米国電気電子学会

※ IEEE802委員会…LANの標準化を目的として設立された組織

OSI基本参照モデル
第7層 アプリケーション層
第6層 プレゼンテーション層
第5層 セション層
第4層 トランスポート層
第3層 ネットワーク層
第2層 データリンク層LLC副層IEEE802.2Ethernet
MAC副層IEEE802.3,IEEE802.5,IEEE802.11 など
第1層 物理層

※Ethernetは,LLC副層の役割を自身で持っている

LLC副層論理的なアドレスの割り当てやエラーチェック(ビットエラーのチェック)を行う
MAC副層物理的な媒体を使用して,データ(フレーム)がどのように転送されるかを定義する

イーサネットでの通信の流れ

 イーサネットでの通信の場合,まず,各端末を設置して(自動または手動で)IPアドレスを割り振り,デフォルトゲートウェイの設定をします。たとえば,次の図のようにします。

通信の流れの例に関する説明画像

※ MACアドレスは,ネットワーク機器やコンピューターのNIC(ネットワークインタフェースカード)に製造時に割り当てられており,同じネットワークの隣接するノードと通信する場合に使用する(手動で割り振ることはない)

※ IPアドレスは,通信相手を識別する場合に使用する(自動または手動で割り振る)

※ デフォルトゲートウェイとは,ネットワークとネットワークをつなぐ装置のことで,図の場合,ルーターが,その役割を担当する(他のネットワークに接続する際の,通信の経由先として,各端末に自動または手動で設定する)

※ ノード…節,集合点という意味。ネットワークは点(機器)と線(伝送路)で表すことができ,この点のことをノードという。具体的には,コンピューターやルーター,スイッチングハブなど,ネットワークに接続されている,すべての機器のことをいう

 イーサネットでは,通信相手のIPアドレス(あて先IPアドレス)から(あて先)MACアドレスを調べ,データ(フレーム)を送信します。通信相手が同じネットワークに存在する場合は,そのMACアドレスを調べて直接送信すればよいのですが,(ルーターを越えた)異なるネットワークに存在する場合は直接送信することはできませんので,デフォルトゲートウェイであるルーターを経由して送信することになります。それでは,実際の通信の流れについてみていきます。

同じネットワークに存在する端末への通信の流れ

 たとえば,図の,PC1からPC2へ通信する場合の流れについて見ていきます。

 まずはじめに,送信元のPC1と,あて先のPC2が同じネットワークに存在しているかを調べます。

PC1とPC2が同じネットワークに存在するかを調べる説明画像

※ IPアドレス,サブネットマスクについては,「IP(インターネット層) -情報処理シンプルまとめ」を参照

 PC1とPC2は同じネットワークに存在することが分かりましたので,直接送信することになります。

 次に,PC1は,自身のARPテーブルを参照し,PC2のMACアドレスが分かる場合,PC2に次のようなパケットを送信します。

※ PC2はPC1と同じネットワークに存在し,かつ,隣接しているため,MACアドレスを使用してパケットを送信することができる

※ PC2のMACアドレスが分からない場合は,ARPにより求める

※ ARP,ARPテーブルについては後述

 PC2は,届いたパケットを受信します。

※ このパケットは,スイッチによりPC2のみに届く

異なるネットワークに存在する端末への通信の流れ

 たとえば,図の,PC1からPC3へ通信する場合の流れについて見ていきます。

 まずはじめに,送信元のPC1と,あて先のPC3が同じネットワークに存在しているかを調べます。

PC1とPC3が同じネットワークに存在するかを調べる説明画像

※ IPアドレス,サブネットマスクについては,「IP(インターネット層) -情報処理シンプルまとめ」を参照

 PC1とPC3は異なるネットワークに存在することが分かりましたので,PC3に送信するパケットはデフォルトゲートウェイであるルーターを経由して送信することになります。

 次に,PC1は,自身のARPテーブルを参照し,ルーターのMACアドレスが分かる場合,ルーターに次のような(PC3に送信する)パケットを送信します。

※ ルーターはPC1と同じネットワークに存在し,かつ,隣接しているため,MACアドレスを使用してパケットを送信することができる

※ ルーターのMACアドレスが分からない場合は,ARPにより求める

※ ARP,ARPテーブルについては後述

 ルーターは,PC1から送信されたパケットを受信し,あて先MACアドレスと送信元MACアドレスを付け替えてPC3へ転送します。

 PC3は,届いたパケットを受信します。

※ このパケットは,スイッチによりPC3のみに届く

 通信の流れについては、「インターネットへの接続と通信の流れ-インターネットへの接続 -情報処理シンプルまとめ」も参照してみてください。

インターネットへの接続と通信の流れ -情報処理シンプルまとめ
基本情報技術者試験など情報処理技術者試験を受験する方にとっては必須の,インターネットへの接続と通信の流れについてシンプルにまとめています。まず,コンピューターネットワークの種類について説明し,その後,端末をインターネットに接続する方法と通信の流れについて,具体例を載せて全体像を把握できるように説明しています。コンピューターネットワークの種類については,LAN,WAN,インターネットと,インターネットの構成(ISP(インターネットサービスプロバイダ―),IX,IDX,ピアリング),インターネットに接続しないネットワーク(イントラネット,エクストラネット)を説明しています。端末をインターネットに接続する具体例については,インターネットへの接続と設定(ISPとの契約,端末の設置と接続,IPアドレスの設定(グローバルIPアドレスの設定,プライベートIPアドレスの設定,デフォルトゲートウェイの設定)),通信に必要な情報(ルーターで管理する情報(フィルタリングテーブル,NATテーブル,ARPテーブル,MACアドレステーブル),スイッチで管理する情報(MACアドレステーブル),DMZに設置したWebサーバーや端末(PC)などで管理する情報(ARPテーブル),無線LAN端末で管理する情報(BSSIDやESSIDの設定,ARPテーブル)の説明をしたあと,①内部ネットワークに1台の端末を設置してインターネット上のWebサーバーに対して通信する場合の流れ,②内部ネットワークに有線・無線の複数の端末を設置してインターネット上のWebサーバーに対して通信する場合の流れ,③内部ネットワークの端末同士で通信する場合の流れ,④DMZにWebサーバーを設置して内部ネットワークの端末や外部から通信する場合の流れについて説明しています。ややこしいと思いますが,この分野は,全体像が掴みにくいのではないかと思いますので,ここで把握してから個々の内容に進むのがよいと思います。じっくり頑張りましょう。

伝送媒体

有線

 有線LANの伝送媒体には,次のようなものがあります。

同軸ケーブル

 同軸ケーブルは、1本の銅線を中心に周囲を絶縁体,メッシュ銅線,外部被覆で取り囲んだ構造をしています。外部からのノイズに強く伝送距離も長いですが,硬くて曲げにくいため配線が困難です。

ツイストペアケーブル(より対線)

 ツイストペアケーブルは,2本の銅線をノイズ低減のため,らせん状により合わせて対(ペア)にし,これを4対集めて外部被覆で覆った構造をしています。安価なため広く普及しています。折り曲げやすくて配線しやすいですが,(同軸ケーブルと比べると)ノイズに弱いです。

光ファイバーケーブル

 光ファイバーケーブルは,ガラスやプラスチック製のコアを,同じ素材のクラッドで囲み,これを外部被覆で覆った構造をしています。屈折率の高いコアと屈折率の低いクラッドの境界で光信号を反射しながら伝送します。高速伝送が可能で,ノイズに強く伝送距離も長いですが,折り曲げに弱く,高価です。

各ケーブルの比較

ケーブルの素材伝送信号
同軸ケーブル銅線(メタル)電気信号外部からのノイズに強く,伝送距離が長いが,硬くて曲げにくいため配線が困難
ツイストペアケーブル
(より対線)
(同軸ケーブルと比べると)ノイズに弱いが,折り曲げやすく配線しやすい。安価
光ファイバーケーブルガラス,
プラスチック
高速伝送が可能で,ノイズに強く伝送距離も長いが,折り曲げに弱い。高価

有線LANで使用するケーブルの規格

 有線LANで使用するケーブルの規格は,IEEE802.3で定められています。

転送速度「Mビット/秒」を単位とした値
変調方式BASE…ベースバンド方式。1つの伝送路で1チャネルだけを伝送する
BROAD…ブロードバンド方式。1つの伝送路で複数チャネルを伝送する
媒体情報T…ツイストペアケーブル
F…光ファイバケーブル
など

 主なケーブルの種類は,次のとおりです。

規格最大伝送速度ケーブル最大伝送距離接続形態
10BASE510Mビット/秒同軸ケーブル500mバス型
10BASE2同軸ケーブル185mバス型
10BASE-TCAT3100mスター型
100BASE-TX100Mビット/秒CAT5100mスター型
100BASE-FX光ファイバー20kmスター型
1000BASE-LX1Gビット/秒光ファイバー5kmスター型
1000BASE-SX光ファイバー550mスター型
1000BASE-TCAT5e100mスター型
10GBASE-T10Gビット/秒CAT6A100mスター型
10GBASE-TCAT7100mスター型
40GBASE-T40Gビット/秒CAT830mスター型

無線

 無線では,データを電波や赤外線などの媒体を利用して送信します。

電波無線免許なしで使用できる2.4GHz帯と5GHz帯の電波を使用する。通常,無線LANで利用する
赤外線赤外線は障害物に弱いため,近距離通信に使用される

無線LANの規格

 無線LANの規格は,IEEE802.11で定められています。

規格最大伝送速度周波数帯
IEEE 802.112Mビット/秒2.4GHz帯
IEEE 802.11b11Mビット/秒2.4GHz帯
IEEE 802.11g54Mビット/秒2.4GHz帯
IEEE 802.11a54Mビット/秒5GHz帯
IEEE 802.11n600Mビット/秒2.4GHz帯/5GHz帯
IEEE 802.11ac6.9Gビット/秒5GHz帯
IEEE 802.11ad6.8Gビット/秒60GHz帯
IEEE 802.11ax9.6Gビット/秒2.4GHz帯/5GHz帯

無線LANの周波数帯

 無線LANで使用する電波の周波数帯には,次のような特徴があります。

2.4GHz帯障害物に強い。電子レンジやBluetoothと同じ周波数帯のため干渉しやすい
5GHz帯障害物に弱い。同じ周波数帯を使用する機器がないため干渉が少ない
60GHz帯電波の直進性が強い。空気中の酸素分子に吸収されやすいため,狭い範囲での通信(半径約10m)に限られるが,高速通信が可能

集線装置

 集線装置には,次のようなものがあります(OSI基本参照モデルに対応させてまとめています)。

アプリケーション層ゲートウェイ異なるプロトコルのネットワークを接続する
プレゼンテーション層
セション層
トランスポート層
ネットワーク層レイヤ3スイッチIPアドレスを基に,データを中継する。ハードウェア処理なので高速。ポート数が多い
ルーターIPアドレスを基に,データを中継する。ソフトウェア処理なので低速。ポート数が少ない
データリンク層スイッチングハブ
(レイヤ2スイッチ)
MACアドレスを基に,必要なポートにデータを中継する。ハードウェア処理なので高速。ポート数が多い
ブリッジMACアドレスを基に,必要なポートにデータを中継する。ソフトウェア処理なので低速。ポート数が少ない
物理層ハブ複数のケーブルを集約するための装置。MACアドレステーブルを持たないので、すべてのポートにデータを中継する
リピータ減衰した電気信号を増幅し,伝送距離を延ばす

※ レイヤ3スイッチやルーター,サーバー,PCなど,IPアドレスを割り振られる機器はARPテーブルを持つ。ARPについては後述

※ レイヤ3スイッチやルーター,スイッチングハブ,ブリッジは,必要なポートにデータを中継するため,MACアドレステーブルを持つ。MACアドレスについては後述

※ ブロードバンドルーター(ホームゲートウェイ)…小規模なLANから,ADSLやCATV,FTTHなどを利用してインターネットに接続する場合に使用する小型のルーター。NAT(NAPT)機能やDHCPサーバー機能,ハブ機能,Wi-Fiアクセスポイントの機能などを備えている

MACアドレスの付け替え

 データを送信する際,あて先IPアドレスと送信元IPアドレスは基本的には変わりませんが,あて先MACアドレスと送信元MACアドレスはレイヤ3スイッチやルータを経由するたびに変わります。

ルーターをパケットが通過する際にMACアドレスを付け替えることに関する説明画像

※ MACアドレスについては後述

ネットワークトポロジー

 LANのネットワークトポロジーには,次のようなものがあります。

バス型

 バス型は,1本のケーブル(バス)に複数のノードを接続する形態です。1本のバスを共有するため,バスに障害が発生すると,すべてのノードが通信できなくなります。

※ ノード…節,集合点という意味。ネットワークは点(機器)と線(伝送路)で表すことができ,この点のことをノードという。具体的には,コンピューターやルーターなどのこと

スター型

 スター型は,ハブなどの集線装置に複数のノードを接続する形態です。集線装置に障害が発生すると,すべてのノードが通信できなくなります。

リング型

 リング型は,リング状のケーブルに複数のノードを接続する形態です。データは一方向に巡回します。ノードやケーブルに障害が発生すると,データが巡回できなくなります。

MACアドレス

 MACアドレスは,ネットワーク機器やコンピューターのNIC(ネットワークインタフェースカード)に割り当てられている48ビットのビット列で,(ルーターの内側の)ネットワークにある機器を識別するために使用されています。

※MACアドレスは,固有(世界で1つ)の番号で,製造時に割り当てられる

MACアドレスの表記

 MACアドレスは,48ビットのビット列を8ビットずつに区切り,それぞれを16進数に変換して表記します。

MACアドレスの表記に関する説明画像

 MACアドレスの上位24ビットは製造元を表すベンダーコードで,下位24ビットは製造元が自由に割り当てることができる製品番号になります(ユーザーが書き換えることはできません)。

ブロードキャストアドレス

 ブロードキャストとは,同じネットワーク内のすべてのノードに対して行う通信のことをいい,次のアドレスを使用します。

FF-FF-FF-FF-FF-FF

ユニキャスト,マルチキャスト,ブロードキャスト

 特定の相手を指定して行う通信をユニキャスト,複数の相手を指定して行う通信をマルチキャスト,すべての相手を指定して行う通信をブロードキャストといいます。

ユニキャスト,マルチキャスト,ブロードキャストの説明画像

MACアドレステーブル

 MACアドレステーブルとは,ポート(port;端子)に,どのMACアドレスを持つ機器が接続されているかという情報を集めたもので,自動で設定されます(手動で設定することはありません)。レイヤ3スイッチやルーター,スイッチングハブ,ブリッジなどは,必要なポートにデータを中継するため,MACアドレステーブルを持っています。

アクセス制御方式

 LANでは1本の伝送路を複数の端末で共有していますので,(基本的には)複数のデータを同時に送信することはできません。複数のデータを同時に送信した場合,衝突コリジョン)が起こりデータは破壊されます。

CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式

 CSMA/CD方式は,イーサネットで使用され広く普及していたアクセス制御方式です。データを送信したい端末は,伝送路の通信状況を確認し,他の端末から送信されたデータが流れていなければ送信を開始します(伝送路に他の端末から送信されたデータが流れていれば待機します)。このとき,他の端末が同時に送信を開始していた場合,衝突(コリジョン)が起こりデータは破壊されます。衝突が起こった場合,それを検知した端末は送信を一旦中止し,ランダムに決めた時間(数ミリ秒程度)経過後に再送します。

 なお,CSMA/CD方式は,半二重通信の場合に使用する方式であり,全二重通信の場合は使用されません。

※ 現在のイーサネットでは,全二重通信を採用することがほとんどなので,CSMA/CD方式を使用することはほとんどない

CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式

 CSMA/CA方式は,無線LANで使用されているアクセス制御方式です。データを送信したい端末は,伝送路(電波)の通信状況を確認し,他の端末から送信されたデータが流れていなければ,ランダムな時間だけ待機して送信を開始します(伝送路に他の端末から送信されたデータが流れていれば待機します)。データを受信したAP(アクセスポイント)は,ESS内のすべての無線LAN端末に対してACK(確認応答)を送信し,正しく届けられたことを伝えます。

※ 無線LANでは,衝突(コリジョン)を検出できないため,各端末がランダムな時間だけ待機して送信することにより衝突を回避する

BSSとESS

 BSS(Basic Service Set)とは,1つの無線LANアクセスポイントの電波が届く範囲のネットワークをいいます。BSSは,BSSIDにより識別され,一般的には,無線LANアクセスポイントのMACアドレスと同じものになります。

 ESS(Extended Service Set)とは,複数のBSSで構成される無線LANのネットワークをいいます。ESSは,ESSIDにより識別されます。

トークンパッシング方式

 トークンパッシング方式は,バス型LANや,リング型LANで使用されているアクセス制御方式です。LAN内にトークンというデータを巡回させ,そのトークンを受け取った端末だけが送信権を獲得し,データを送信します。

※ バス型LANの場合はトークンバス方式,リング型LANの場合はトークンリング方式という

ARP(Address Resolution Protocol)

 ARPとは,IPアドレスを基に,NICに割り当てられたMACアドレスを調べるためのプロトコルです。

 イーサネットで通信する際には, IPアドレスを使用して通信相手を指定しますが,物理的に隣接ノード(中継ノードや通信相手となるノード)にデータを送る際には,MACアドレスを使用します。このとき,隣接ノードのMACアドレスは分かりませんのでARPにより調べ,ARPテーブルに設定する必要があります。

ARPの説明画像

 通信相手が異なるネットワークに存在する場合は,デフォルトゲートウェイであるルーターにデータを送信しますが,このとき,MACアドレスが分からなければ,同じ方法でMACアドレスを調ます。

 具体的な流れについては、「インターネットへの接続と通信の流れ-インターネットへの接続 -情報処理シンプルまとめ」を参照してください。

インターネットへの接続と通信の流れ -情報処理シンプルまとめ
基本情報技術者試験など情報処理技術者試験を受験する方にとっては必須の,インターネットへの接続と通信の流れについてシンプルにまとめています。まず,コンピューターネットワークの種類について説明し,その後,端末をインターネットに接続する方法と通信の流れについて,具体例を載せて全体像を把握できるように説明しています。コンピューターネットワークの種類については,LAN,WAN,インターネットと,インターネットの構成(ISP(インターネットサービスプロバイダ―),IX,IDX,ピアリング),インターネットに接続しないネットワーク(イントラネット,エクストラネット)を説明しています。端末をインターネットに接続する具体例については,インターネットへの接続と設定(ISPとの契約,端末の設置と接続,IPアドレスの設定(グローバルIPアドレスの設定,プライベートIPアドレスの設定,デフォルトゲートウェイの設定)),通信に必要な情報(ルーターで管理する情報(フィルタリングテーブル,NATテーブル,ARPテーブル,MACアドレステーブル),スイッチで管理する情報(MACアドレステーブル),DMZに設置したWebサーバーや端末(PC)などで管理する情報(ARPテーブル),無線LAN端末で管理する情報(BSSIDやESSIDの設定,ARPテーブル)の説明をしたあと,①内部ネットワークに1台の端末を設置してインターネット上のWebサーバーに対して通信する場合の流れ,②内部ネットワークに有線・無線の複数の端末を設置してインターネット上のWebサーバーに対して通信する場合の流れ,③内部ネットワークの端末同士で通信する場合の流れ,④DMZにWebサーバーを設置して内部ネットワークの端末や外部から通信する場合の流れについて説明しています。ややこしいと思いますが,この分野は,全体像が掴みにくいのではないかと思いますので,ここで把握してから個々の内容に進むのがよいと思います。じっくり頑張りましょう。

ARPテーブル

 ARPテーブルとは,IPアドレスと,ARPにより割り出したMACアドレスの対応を集めたもので,レイヤ3スイッチやルーター,サーバー,PCなど,IPアドレスを割り振られた機器が持っています。

RARP(Reverse Address Resolution Protocol)

 RARPは,IPアドレスを記憶できない端末が,MACアドレスを基にIPアドレスを調べるためのプロトコルです。

※ ほとんど使用されていない

まとめ

 今回は,LANついて,シンプルにまとめてみました。基本的な内容ではありましたが,はじめての人にとっては,覚えることもあり,案外,難しく感じたかもしれません。その場合は,(いつも同じことばかり書いていますが),やっぱり,反復です。理解できるまで,繰り返し頑張りましょう。