このページでは,基本情報技術者試験をはじめとする情報処理技術者試験で必須となる,経営戦略マネジメントをシンプルにまとめています。経営戦略の概要から,ベンチマーキングやSWOT分析などの戦略手法,マーケティング戦略,さらにERPやCRMなどの経営管理システムまで,幅広く解説しています。
経営戦略マネジメントとは
経営戦略とは,企業の経営目標と,その目標を達成するための中長期的な計画を示したものです。
※ 経営戦略では,競合他社との差別化,自社の優位性の確立,経営の効率化,経営資源の最適化などを図るための戦略を策定する
経営戦略手法とは
ベンチマーキングとは
ベンチマーキングとは,自社の製品やサービスなどを,他社の優れた事例(ベストプラクティス)と比較・分析し,改善点を見出す手法です。
コアコンピタンスとは
コアコンピタンスとは,他社と比べて優位なノウハウや技術,技能などの強みのことをいいます。
※ コア=核
※ 競合他社との差別化を図るために,経営資源を優位性の高い事業に配分する ⇒ 自社の強みを生かした経営を行う
※ 経営資源…経営に欠かすことのできない要素。ヒト,モノ,カネ,と,情報
ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは,従業員一人ひとりがもつ知識や情報を共有して有効に活用することで,業務の効率を上げる手法です。
※ ナレッジ=知識
リーンスタートアップとは
リーンスタートアップとは,(コストや期間をあまりかけていない)最低限の製品やサービスを市場に投入し,顧客などの反応を見ながら改善していく手法です。
※ E.リースが提唱
M&A(Mergers and Acquisitions)とは
M&Aとは,企業の合併や買収のことをいいます。
※ 経営基盤を強化したり自社の弱点を補うために,他社の先進的な技術などを自社の経営資源として取り込む
SWOT分析とは
SWOT分析とは,経営戦略を立案するために,強み,弱み,機会,脅威の4つの視点で自社の特性を分析する手法です。
※ 市場の動向などの外部環境を分析し,機会と脅威を整理する ⇒ 自社と競合する他社とを比較して内部環境を分析し,自社の強みと弱みを整理する ⇒ コアコンピタンスを見極める
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは
プロダクトポートフォリオマネジメントとは,経営資源をどこに配分するかを決めるために,自社の事業や製品を(市場占有率と市場成長率の2つの軸による)4つの領域に分類し,自社の置かれた位置を分析する手法です。
| 花形 | 市場成長率と市場占有率が高い。 大きな収益をもたらすが,市場の成長への対応や占有率の維持に追加投資が必要 ⇒ 収益効果は高くない |
| 金のなる木 | 市場成長率は低いが市場占有率は高い。 市場が成熟しており,安定した収益を確保できる ⇒ この収益を問題児や花形へ投資する |
| 問題児 | 市場成長率は高いが市場占有率は低い。 追加投資により市場占有率を高めた場合は,花形へ移行できる可能性がある。しかし,市場成長率が低下した場合には,負け犬となる可能性もある |
| 負け犬 | 市場成長率と市場占有率が低い。 投資の必要は,ほとんどない ⇒ 撤退を検討する |
バリューチェーン分析とは
バリューチェーン分析とは,製品やサービスの付加価値が,事業活動のどの部分から生み出されているのかを分析する手法です。
※ 企業の事業活動を,主活動と支援活動に分けて分析する
ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析とは,企業間の競争の状況などを分析する手法です。
※ マイケル・ポーターが提唱
| 競合企業 | 業界内での企業同士の(価格競争などの)競争の激しさを指す ⇒ 低価格化などにより利益率が低下したりする ⇒ 業界の魅力が低下する |
| 新規参入の脅威 | 業界への新規参入のしやすさを指す ⇒ 新規参入が容易な場合は,収益率が低下しやすい |
| 代替品の脅威 | 自社の製品の代わりに利用できる代替品を指す ⇒ 代替できる場合は,自社の競争力が低下する |
| 売り手の交渉力 | 自社と仕入先との関係を指す ⇒ 仕入先の交渉力が強い場合には,仕入先の売値をそのまま受け入れざるを得ない |
| 買い手の交渉力 | 自社と顧客との関係を指す ⇒ 顧客の交渉力が強い場合には,安く販売することになり利益率が低下する |
アンゾフの成長マトリクスとは
アンゾフの成長マトリクスとは,事業の方向性を決めるために,製品と市場の視点から分析する手法です。
| 市場浸透 | 既存の市場に既存の製品を投入し,販売を伸ばす戦略 |
| 新市場開拓 | 新たな(顧客や地域などの)市場を開拓し,既存の製品の販売を伸ばす戦略 |
| 新製品開発 | 新製品を開発し,既存の市場に投入する戦略 |
| 多角化 | 新たな(顧客や地域などの)市場に,新製品を投入する戦略 |
競争戦略とは
マイケル・ポーターの3つの基本戦略とは
マイケル・ポーターの3つの基本戦略とは,企業が市場で優位性を築くための戦略です。
| コストリーダーシップ戦略 | 競争相手の企業よりも低いコストで生産・販売する戦略 |
| 差別化戦略 | 自社の製品などを他社のものとは違う独自のものとして差別化を図る戦略 |
| 集中戦略 | 特定のセグメントに経営資源を集中する戦略 |
ブルーオーシャン戦略とは
ブルーオーシャン戦略とは,競争の激しい既存市場(レッドオーシャン)を避けて,未開拓の市場(ブルーオーシャン)を切り開く戦略です。
※ 競合が存在しないので,高い利益を目指すことができる
競争地位別戦略とは
競争地位別戦略とは,市場における占有率(シェア)で企業を分類し,それぞれの地位に応じた戦略を提示する理論です。
※ フィリップ・コトラーが提唱
| リーダー | 業界で最大の占有率を確立している企業。全方位的な戦略をとる |
| チャレンジャー | 業界で2位や3位の企業。リーダーの市場を奪うことを目標に,差別化戦略をとる |
| フォロワー | チャレンジャーよりも下位の企業。目標とする企業の戦略を模倣する戦略をとる |
| ニッチ | ニッチ(隙間)市場を専門にしている企業。他社が参入しにくい専門特化した市場に経営資源を集中する戦略をとる |
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マーケティングとは
マーケティングとは,商品が効率的に売れるしくみを作る企業活動のことをいいます。
マーケティング手法とは
マスマーケティングとは
マスマーケティングとは,一般大衆(マス)を対象とした(同じ)製品などを大量に投入して,大規模な市場の獲得を目指す手法です。
※ 消費者の個々のニーズに応えるのが難しい
ターゲットマーケティングとは
ターゲットマーケティングとは,細分化(セグメンテーション)した市場から最も効果的な市場を標的(ターゲット)として定め,その中で自社が優位に立てる(ポジショニング)製品などに集中してマーケティング活動を行う手法です。
リレーションシップマーケティングとは
リレーションシップマーケティングとは,顧客などとの(良好な)関係を長期間維持し,繰り返し取引を行うことで利益を上げる手法です。
マーケティング分析
3C分析とは
3C分析とは,市場・顧客(Customer),競合(Competitor),自社(Company)の各要素ごとに業界環境を分析するフレームワークです。
| 市場・顧客分析 | 市場の規模や,想定する顧客を分析し,把握する |
| 競合分析 | 競合する他社を分析し,各社の市場占有率や,戦略,強みや弱みなどを把握する |
| 自社分析 | 自社を分析し,経営戦略や,現状,強みや弱みなどを把握する |
RFM分析とは
RFM分析とは,Recency(最終購買日),Frequency(購買頻度),Monetary(購買金額)の3つの指標で顧客を分類(ランク付けなど)し,購買行動を分析する手法です。
※ 優良顧客の特定や維持,一人ひとりに適したマーケティング施策を実施できる
マーケティングリサーチ(市場調査)とは
マーケティングリサーチとは,マーケティングに必要な情報を収集・分析するための活動です。
※ 市場や顧客のニーズなどを収集・分析する
マーケティングミックスとは
マーケティングミックスとは,製品(Product),価格(Price),流通(Place),プロモーション(Promotion)の4つの要素(4P)の適切な組み合わせのことで,効果的な戦略を策定し,顧客との関係性を構築します。
※ 買い手側の視点で,顧客価値(Customer value),顧客コスト(Customer cost),利便性(Covenience),コミュニケーション(Communication)の4つの要素(4C)で捉えることもできる
マーケティングの戦略
製品戦略とは
製品戦略では,製品などの提供開始から終了までを考慮することが大切です。
プロダクトライフサイクル(PLC;Product Life Cycle)とは
製品などの時間(提供開始から終了までの段階)と市場規模の関係は,次のようになります。
| 導入期 | 認知度が低いので需要は限定的 ⇒ 新しい需要を開拓する必要がある |
| 成長期 | 認知度が高まり需要も高まる ⇒ 供給を増やすために投資する必要がある |
| 成熟期 | 需要が大きくなり企業間の競争が激化する ⇒ 市場シェアを維持するために,コストダウンや追加の品種を投入する必要がある |
| 衰退期 | 需要が減少する ⇒ 撤退する企業が現れる ⇒ 市場からの撤退などを検討する |
広告戦略(プロモーション戦略)とは
広告戦略では,商品などを消費者に認知してもらえるようにします。
ディジタルサイネージ(電子看板)とは
ディジタルサイネージとは,ディスプレイやプロジェクターなどに広告を表示するシステムのことをいいます。
※ 広告の入れ替えの手間がかからない,動画を表示することができる,といった特徴がある
ブランド戦略とは
ブランド戦略では,商品をブランド化し価値を上げるようにします。
価格戦略とは
価格戦略では,商品などに適した価格を設定するようにします。
コストプラス価格決定法とは
コストプラス価格決定法とは,製品の製造原価や仕入原価に一定の利益(マージン)を乗せて価格を決定する方法です。
スケールメリットとシナジー効果とは
スケールメリットとは,生産規模が拡大するほど生産性や経済効率が向上し,利益率が高くなることをいいます(規模の経済性)。
シナジー効果とは,全体で得られる効果が,単体で得られる効果の合計よりも大きくなることをいいます。(相乗効果)。
ビジネス戦略と目標・評価とは
ビジネス戦略と目標・評価では,マーケティング戦略などに基づいて,業務活動における戦略を立案し,評価します。
バランススコアカード(BSC;Balanced Score Card)とは
バランススコアカードとは,企業の業績を管理する手法です。「財務」,「顧客」,「業務プロセス」,「学習と成長」の4つの視点それぞれでKGIを決め,それを達成するためにCSFを決めます。そして,業務プロセスの状況を確認するための指標(KPI)を決め,それを達成するために具体的なアクションプランを立て,実行します。
※ KGI(Key Goal Indicator)…重要目標達成指標
※ CSF(Critical Success Factor)…重要成功要因
※ KPI(Key Performance Indicator)…重要業績評価指標
※ アクションプラン…行動計画
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経営管理システムとは
ERP(Enterprise Resource Planning)とは
ERPとは,企業の業務システムを統合的に管理し,経営資源の有効活用と経営の効率化を図るという考え方です。ERPパッケージを使用して情報システムを構築します。
※ ERPパッケージは,人事システムや経理システム,生産管理システム,販売管理システム,在庫管理システムなどのソフトウェアで構成される。汎用性が高いので多くの企業で導入可能であるが,自社向けにカスタマイズしなければならないことが多い
CRM(Customer Relationship Management)とは
CRMとは,顧客満足度を高めるために,顧客の情報(注文履歴など)を一元管理し,顧客ごとの特性などを分析する手法(やシステム)です。顧客との長期的な関係を築いて,収益の向上を図ります。
SFA(Sales Force Automation)とは
SFAとは,営業活動の効率と品質を高める手法で,効果的な営業活動を行えるようにします。
※ 営業活動に関する情報をデータベースで管理する
※ コンタクト管理…(顧客への)訪問履歴や営業結果などの情報を一元管理するしくみ
SCM(Supply Chain Management;サプライチェーンマネジメント)とは
SCMとは,自社内や取引先との間で,資材の調達から,製品開発,流通,販売までの流れ(サプライチェーン)に関する情報をリアルタイムに交換する手法(やシステム)です。納期の短縮や在庫の削減,コストの削減を目指します。
まとめ
今回は,経営戦略マネジメントについて,経営戦略手法,マーケティング,経営管理システムを中心にシンプルにまとめてみました。内容は多く,ややこしい部分もありますが,繰り返し取り組むことで理解を定着させましょう。
理解が進んだら,過去問題等にもチャレンジしてみてください。
