会計・財務の基礎まとめ

会計・財務の基礎まとめに関するブログのアイキャッチ画像 企業活動
広告

 会計・財務は,基本情報技術者試験をはじめとする情報処理技術者試験で頻出となる重要分野です。企業の活動を数値で把握し,経営状態を判断するための基礎となる知識ですが,苦手意識を持つ方も多いのではないでしょうか。

  • 会計・財務=企業の経営活動を数値で記録・分析し,経営状態を把握する分野

 これらは単なる計算問題ではなく,「企業がどのように利益を生み出しているのか」,「どのように資金が流れているのか」を理解することが重要です。

 このページでは,会計・財務の全体像を図解イメージで整理し,「つながりが一目で分かる」ようにシンプルに解説します。

 初学者の方や,基礎を体系的に復習したい方に向けたまとめページです。

広告

企業会計とは

 企業会計とは,企業の営利目的の活動におけるお金や物の増減を記録・管理することをいいます。

※ 財務諸表(貸借対照表や損益計算書など)により,企業の経営成績や財務状況を利害関係者(株主や顧客など)に報告する

会計処理の流れ

 会計処理の流れは,一般的には次の流れで進みます。

会計処理の流れに関する説明画像

財務諸表とは

 財務諸表とは,企業の財務状況や経営成績を利害関係者(株主や顧客など)に報告するために,決算期ごとに作成する書類のことをいいます。

貸借対照表(B/S;バランスシート)とは

 貸借対照表とは,決算日時点での,企業の資産,負債,純資産をまとめた財務諸表をいいます。

※ 財務状況を明らかにする

※ 資産を借方(左側),負債と純資産を貸方(右側)に記載する

貸借対照表に関する説明画像
資産会社が持っているもの(会社の財産)
例)現金、預金、売掛金、商品、備品 など
負債会社が返さなければならないお金(会社の借金)
例)借入金、買掛金 など
純資産資産から負債を引いた会社のもの(会社の正味の財産)

損益計算書(P/L;Profit and Loss)とは

 損益計算書とは,一定期間(通常は1年間)の,収益,費用を記載した財務諸表をいいます。

※ 経営成績を明らかにする

※ 費用を借方(左側),収益を貸方(右側)に記載する

損益計算書に関する説明画像
収益商品やサービスを提供して得たお金(入ってきたお金)
例:売上、受取利息 など
費用収益を得るために使ったお金(稼ぐために使ったお金)
例:仕入代金、給料、家賃、光熱費 など

キャッシュフロー計算書とは

 キャッシュフロー計算書とは,一定期間(通常は1年間)における,現金の増減を明らかにする財務諸表をいいます。

※ 営業活動,投資活動,財務活動に分けて記載する

※ 損益計算書では利益が出ていても,現金が足りない(黒字倒産)ことがあるため作成する

■ 借方・貸方について

  • 資産・費用は増えると借方
  • 負債・純資産・収益は増えると貸方

広告

日々の取引から決算までの実践例

日々の取引から決算までの実践例を載せておきます。学習しやすいように,簡潔にまとめています。

【モデル企業】

会社名:Y商店

会計期間:2026年4月1日~2026年4月30日(1か月)

期首残高

 期首残高とは,会計期間の初日(ここでは,2026年4月1日)における資産・負債・純資産の金額です。

※ 前期の期末残高を引き継いだもの

期首残高に関する説明画像

日々の取引と仕訳

 日々の取引とは,営利目的の活動の中で日常的に発生し,お金や物の増減をもたらす取引のことをいいます。

 仕訳とは,日々の取引を勘定科目に分けて記録することをいいます。

※ 借方と貸方に分けて記載する

※ 勘定科目…取引の内容を分かりやすく分類するための項目

この実践例では,「商品」勘定を用いる方法(商品勘定法)で仕訳を行っています。これは実務でよく用いられる方法です。なお,試験では特に指定がない限り,「仕入」勘定を用いる分記法が前提となるため,試験対策としては「仕入/売上」で覚えるようにしてください。

日々の取引と仕訳の例に関する説明画像

棚卸評価とは

 棚卸評価とは,商品有高帳に基づいて期末在庫の数量と単価を把握し,その金額を算定することです。

※ 在庫の値段の決め方

※ 商品有高帳…商品の受入れ(仕入),払出し(売上),残高(在庫)を,商品の種類ごとに記録する補助簿のこと(日々の棚卸評価を行うための帳簿)

先入先出法とは

 先入先出法とは,先に仕入れた商品から先に払い出す方法です。

商品有高帳(先入先出法)の例に関する説明画像
後入先出法とは

 後入先出法とは,後に仕入れた商品(新しい商品)から先に払い出す方法です。

商品有高帳(後入先出法)の例に関する説明画像
移動平均法とは

 移動平均法とは,仕入のたびに平均単価を更新する方法です。

商品有高帳(移動平均法)の例に関する説明画像
総平均法とは

 総平均法とは,期末にまとめて平均単価を出す方法です。

商品有高帳(総平均法)の例に関する説明画像

この実践例では,先入先出法を用いて計算しています。

減価償却とは

 減価償却とは,備品や建物などの固定資産について,取得時に一度に費用計上するのではなく,使用する期間にわたって少しずつ費用として配分していく会計処理のことです。

定額法とは

 定額法とは,固定資産の取得価額から残存価額を差し引いた金額を,耐用年数にわたって毎年均等に配分して費用化する方法です。

40万円で購入した備品(耐用年数5年,残存価格0円)の1年当たりの減価償却費を定額法で計算すると,

(400,000円 - 0円)÷ 5年 = 80,000円

※ 1年目から5年目まで,毎年8万円ずつ減価償却費を計上する

となる。

※ 1か月当たりの減価償却費は,80,000円 ÷ 12 = 6,667円となる

定率法とは

 定率法とは,固定資産の帳簿価額(未償却残高=残っている帳簿価額)に一定の償却率を掛けて,毎年減価償却費を計算する方法です。

※ 減価償却費は年数が経つにつれ減少していく

40万円で購入した備品(耐用年数5年,残存価格0円,償却率0.4(40%))の1年当たりの減価償却費を定率法で計算すると,

1年目:400,000円 × 0.4 = 160,000円

※ 帳簿価額:400,000円 - 160,000円 = 240,000円

2年目:240,000円 × 0.4 = 96,000円

※ 帳簿価額:240,000円 - 96,000円 = 144,000円

3年目:144,000円 × 0.4 = 57,600円

※ 帳簿価額:144,000円 - 57,600円 = 86,400円

4年目:86,400円 × 0.4 = 34,560円

※ 帳簿価額:86,400円 - 34,560円 = 51,840円

5年目:51,840円

※ 残りを全額償却する

となる。

この実践例では,定額法を用いて計算しています。

総勘定元帳への転記

 総勘定元帳とは,すべての勘定科目ごとに,取引を記録・集計する帳簿です。標準式(残高付き)で作成すると,次のようになります。

総勘定元帳の例に関する説明画像

 ちなみに,T字形式で作成すると,次のようになります(現金勘定のみ)。

総勘定元帳(T勘定)の例に関する説明画像

試算表の作成

 試算表とは,借方合計と貸方合計が一致するかを確認する表です。

残高試算表の例に関する説明画像

決算整理

 決算整理とは,決算日時点の正しい財務状態・経営成績を表すために,帳簿の内容を修正・調整する作業のことです。主な決算整理の内容は,次のとおりです。

減価償却の計上固定資産の価値減少を費用として配分する

例)備品や機械などを,耐用年数にわたって少しずつ費用化

棚卸資産の評価実際の在庫を確認し,帳簿の数量・金額と一致させる(売上原価を正しく計算するために行う)
費用・収益の見越し
(未払・未収)
まだ現金のやり取りはないが,当期に属するものを計上する

例)未払費用(まだ払っていないが当期の費用),未収収益(まだ受け取っていないが当期の収益)

前払・前受の整理
(繰延)
すでに現金のやり取りはあるが,来期分を除く

例)前払費用(来期分は資産にする),前受収益(来期分は負債にする)

貸倒引当金の設定売掛金などの回収不能リスクに備えて,見積もりで費用計上する
消耗品・貯蔵品の整理未使用分を資産として振り替える

この実践例では,理解を分かりやすくするために,通常は決算時に行う減価償却の計上や棚卸資産の評価については,取引発生時に反映させて記帳しています。そのため,決算整理仕訳を別途行わなくても,期末時点で正しい残高が示されるようになっています。

財務諸表の作成

 上述したように,財務諸表とは,企業の財務状況や経営成績を利害関係者(株主や顧客など)に報告するために,決算期ごとに作成する書類のことをいいます。

損益計算書の作成

 損益計算書を作成して,一定期間(ここでは1か月間)の経営成績を明らかにします。

※ 費用を借方(左側),収益を貸方(右側)に記載する

損益計算書の例に関する説明画像
売上総利益(粗利)売上から商品の原価を引いた利益(商品を売って、どれだけ儲かったか)
営業利益本業で稼いだ利益(粗利-家賃などの費用)
経常利益会社の通常活動での利益(営業利益+受取利息など-支払利息など)
税引前当期純利益すべての収益・費用を反映した税引前の利益
当期純利益最終的に会社に残る利益(税金を引いた後の利益)

この実践例では,学習用に,固定資産売却益と固定資産除却損を特別損益として扱っています。

貸借対照表の作成

 貸借対照表を作成して,決算日(ここでは4月30日)時点での財務状況を明らかにします。

※ 資産を借方(左側),負債と純資産を貸方(右側)に記載する

貸借対照表の例に関する説明画像

キャッシュフロー計算書の作成

 キャッシュフロー計算書を作成して,一定期間(ここでは1か月間)における,現金の増減を明らかにします。

※ 営業活動,投資活動,財務活動に分けて記載する

※ 損益計算書では利益が出ていても,現金が足りない(黒字倒産)ことがあるため作成する

キャッシュフロー計算書の例に関する説明画像

この実践例では,キャッシュフロー計算書を直接法(現金の増減をそのまま表示する方法)により作成しています。

広告

損益分岐点分析

 損益分岐点とは,利益がちょうど0になる売上高のことをいいます。

 損益分岐点分析とは,どれくらい売れば黒字になるか(また,どれだけ余裕があるか)を分析することをいいます。

例)上記実践例における損益分岐点分析

① 売上高(645,000円)を表す直線(y = x)を描画する(下図の青い直線)

② 費用を求める

  • 固定費:161,667円

地代家賃 60,000円

給料手当 80,000円

水道光熱費 15,000円

減価償却費 6,667円

※ 固定費…売上に関係なく,必ずかかる費用

  • 変動費:370,000円

※ 変動費…売上に応じて増減する費用(この実践例の場合は売上原価)

  • 変動費率:変動費 ÷ 売上高

= 370,000 ÷ 645,000

≒ 0.5736(57.36%)

※ 変動費率…売上に対する変動費の割合。グラフの傾きになる(下図のオレンジ色の直線の傾き)

  • 限界利益率:1 - 変動費率

= 1 - 0.5736

≒ 0.4264(42.64%)

※ 限界利益率…売上に対する利益の割合

③ 損益分岐点売上高を求める

  • 損益分岐点売上高:固定費 ÷ 限界利益率

= 161,667 ÷ 0.4264

≒ 379,144円

  • 安全余裕額:売上高 - 損益分岐点売上高

= 645,000 - 379,144

≒ 265,856円

※ 安全余裕額…売上が、損益分岐点よりどのくらい上にあるかを示す

  • 安全余裕率:安全余裕額 ÷ 売上高

= 265,856 ÷ 645,000

≒ 0.412(41.2%)

※ 安全余裕率…売上に対する安全余裕額の割合

損益分岐点分析に関する説明画像

※ 売上が379,144円を下回ると赤字になる

※ 売上が645,000円あるので,まだ余裕がある

※ 人件費などの固定費が増えると,損益分岐点は上がる(黒字になりにくくなる)

まとめ

 今回は,会計・財務について,仕訳や勘定科目といった基礎から,財務諸表(損益計算書・貸借対照表),さらに損益分岐点分析などの重要テーマまでをシンプルにまとめてみました。これらは試験でも頻出であり,特に「仕訳のルール」と「各財務諸表の役割」,「利益の構造(売上総利益・営業利益など)」は確実に押さえておきたいポイントです。

 単なる計算や暗記にとどまらず,「どのように利益が計算されているのか」,「企業のどの部分を表しているのか」まで理解することが得点力につながります。

 理解が進んだら,基本情報技術者試験の過去問題等にもチャレンジしてみてください。

広告